高齢者支援サービスの契約の全体像:三つの分類と、重くなる境目で足す書類

見守りの声かけから、入院の連帯保証、亡くなった後の手続まで、高齢者支援サービスの契約は重さがまるで違います。国のガイドラインの三分類と条文に沿って、どの境目で何の書類が要るかを整理します。

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一つの会員規約にすべてを載せると、何を引き受けて何を引き受けないのかが、読み手に伝わらなくなります。

このページの要点

  • サービスは、身元保証等・死後事務・日常生活支援の三つに分け、サービスごとに引き受ける内容と費用を書き分ける。
  • 契約が重くなる境目は、お金を預かるとき、保証を負うとき、本人の死後まで続くとき。境目ごとに書類と説明を足す。
  • 契約者が本人か家族かを最初に確かめ、代理権と本人の意思の確認を記録に残す。
  • 書類は役割ごとに分け、契約ごとの終わり方の違いと、他の契約との関係を条文で定める。

結論:サービスを三つに分けて考え、契約が重くなる境目で書類を足す

高齢の方の暮らしを支える民間のサービスは、安否を確かめる見守りのように軽いものから、入院や入所の際の連帯保証、亡くなった後の手続の引受けまで、契約としての重さがまるで違います。重さが違うのに、一つの会員規約や一枚の申込書にすべてを載せると、条文が増えるだけで、何を引き受け、何を引き受けないのかが読み手に伝わらなくなります。

令和6年6月に関係省庁が示した「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(以下「ガイドライン」といいます)は、この事業で行われるサービスを、身元保証等サービス・死後事務サービス・日常生活支援サービスの三つに分けて整理しています。このサイトの出発点もこの三分類です。見守りや買い物の付添いは日常生活支援の側、入院や入所の際の連帯保証や緊急連絡先の受託は身元保証等の側、亡くなった後の葬送や行政手続は死後事務の側に置かれます。

  • 三分類は、書類を分ける単位でもある。サービスごとに「何を引き受けるか」「費用はいつ誰がどう払うか」「うまくいかなかったときに誰が何をするか」を別々に書く。
  • 契約が重くなる境目は、お金を預かるとき、保証という責任を負うとき、本人の死後まで続くときの三つ。境目を越えるたびに、書類と説明を足す。
  • 契約の法的な性質は、多くが委任か準委任。受任者には報告の義務があり、記録を残すことは、利用者への報告であると同時に、事業者が自分の履行を示す材料にもなる。
  • 契約者が本人なのか、家族が申し込んだのかは、書類の一番最初に確かめる。家族が署名した契約は、本人との契約になっているとは限らない。
  • 公的な仕組み(社会福祉協議会の福祉サービス利用援助事業、介護保険、成年後見)と役割が重なる部分は、置き換えるのではなく、つなぐ前提で書く。

このページは、サイト全体の地図です。各サービスの書き方は、見守りなら見守りサービスの契約書、買い物や通帳の管理なら日常生活支援と財産管理等委託契約、国の指針そのものの読み方はガイドラインの読み方のページで扱います。このサイトは契約書と重要事項説明書に何を書くかを整理するもので、医療や介護の専門的な判断、成年後見の申立てや相続の紛争には立ち入りません。

国のガイドラインが整理する三つのサービス分類

ガイドラインは、この事業で提供されるサービスの例を一覧表(表1)にまとめています。以下はその要約です。項目の正確な表現は、原文で確かめてください。

三つのサービス分類と提供例(ガイドライン表1の要約)

分類主な内容の例契約として見たときの特徴
身元保証等サービス入院・入所の際の連帯保証、入院・入所や退院・退所の手続の代行、死亡や退去時の身柄の引取り、医療に係る意思決定の支援への関与、緊急連絡先の指定の受託と緊急時の対応保証という責任を負う。医療機関や施設との関係が生じ、できることとできないことの線引きが要る。
死後事務サービス死亡の確認と関係者への連絡、葬儀・火葬・納骨・永代供養の手続代行、費用の精算、家財道具や遺品の整理、行政機関での手続、ライフラインの停止、残置物等の処理、墓地の管理 など本人の死後に履行される。履行を本人が確かめられない。相続人との関係が生じる。
日常生活支援サービス(生活支援関係)通院の送迎・付添い、買物への同行や購入物の配達、生活に必要な物品の購入、日用品や家具の処分、入院・入所に伴う引っ越し、介護保険等のサービス受給手続の代行利用の都度、費用が生じる。行為の記録が要る。
日常生活支援サービス(財産管理関係)公共料金等の定期的な支出の支払手続の代行、生活費等の管理・送金、不動産や動産の保存・管理、預貯金の取引、印鑑や重要書類の保管 などお金と権限を預かる。出納の記録と報告が中心になり、契約を分けて結ぶ。

表の読み方で押さえたい点は三つあります。第一に、分類は事業者の看板ではなく、サービス一つ一つに付くものです。一つの事業者が三つすべてを提供することも、一つだけを提供することもあります。第二に、表1の例示は網羅ではなく、ガイドライン自身が、具体的な内容は事業者と利用者の契約に基づいて決まるとしています。第三に、安否の確認を中心とする見守りは、表1の項目としては挙げられていません。実務では日常生活支援に付随して提供される例が多いため、このサイトでは日常生活支援の隣に置いて扱い、見守りそのものは別のページで詳しく書きます。

ガイドラインが主な対象とする事業者の範囲(身元保証等と死後事務の両方を提供し、本人と契約し、事業として継続的に提供する者)や、日常生活支援だけ、死後事務だけを提供する事業者が参照する場合の考え方は、ガイドラインの読み方で整理しています。

見守りから死後事務まで:契約の重さの階段

三分類は横に並べた区分ですが、契約の重さという縦の軸で見ると、サービスは階段のように積み上がります。始めたときは一番下の段であっても、利用者の暮らしが変わると、頼まれる内容が一段ずつ上がっていくのが普通です。事業者にとっては、今どの段に立ち、次にどの段へ上がる可能性があるかを知っておくことが、書類を先回りして用意する手がかりになります。

契約が重くなる順序(下から上へ)

  1. 見守り・安否の確認決めた方法と頻度で確認する約束。お金の預かりも、法的な保証も伴わない。書くことは、方法・頻度・連絡先・できないこと。
  2. 日常生活支援(行為)買い物、付添い、手続の補助。費用が利用の都度生じるため、行った内容と費用の記録が要る。
  3. 金銭の預かり・管理立替、預り金、通帳の管理、前払いの預託金。ここから契約を分け、区分管理と報告を書く。
  4. 身元保証・緊急連絡先連帯保証までするのか、手続の代行までか。事業者が費用を負担したときの求償。医療に関する同意の権限は持たない。
  5. 死後事務・贈与等契約が本人の死後まで続き、相続人が当事者の地位を引き継ぐ。履行を本人が見届けられない。贈与や遺贈とは切り離す。

実際のサービスは、一段ずつ順番に上がるとは限りません。見守りの申込みの席で、いきなり死後事務の相談が出ることもあります。

各段で何を足すかを表にすると、次のとおりです。

段が上がるときに足す書類と説明

段足す書類・条項説明で伝えること
見守り見守りの利用契約、連絡先の記録、個人情報の利用目的確認の方法と頻度、異変があったときの連絡の順序、できないこと
生活支援業務の範囲と費用、提供記録の様式都度の費用の算定、できない行為(医療行為など)、他の事業者の紹介
金銭の管理財産管理等委託契約、出納記録、預託金の区分管理の定め管理する範囲、保管方法、記録の保存、報告の頻度、確認の方法
身元保証身元保証の契約、費用負担と求償のルール連帯保証の有無、引き受ける事項と引き受けない事項、医療機関・施設への伝え方
死後事務死後事務委任契約、費用の上限、預託金の精算、報告先契約が死亡で終わらないこと、相続人への説明、履行の確認の仕組み

契約の法的な性質:委任・準委任、財産管理等委託、任意後見、贈与

ガイドラインは、この事業の契約は、内容によって委任(民法643条)または準委任(同法656条、643条)と整理されうるとしています。法律行為を委託するのが委任、法律行為でない事務を委託するのが準委任です。安否の確認や買い物の付添いのような事実行為は準委任、解約の手続を本人に代わって行うような法律行為の委託は委任、というように、一人の事業者の中でも混ざります。どちらにも委任の規定が働くので、受任者としての義務はほぼ共通です。

契約の性質に関わる主な条文

  • 民法 643条・656条
    委任と準委任

    法律行為の委託が委任、法律行為でない事務の委託が準委任。準委任にも委任の規定が準用される。

  • 民法 644条
    受任者の注意義務

    委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する。結果の保証ではなく、事務の処理の仕方についての義務。

  • 民法 645条
    報告義務

    委任者の請求があるときはいつでも処理の状況を報告し、委任が終了した後は遅滞なく経過と結果を報告する。

  • 民法 646条
    受取物の引渡し

    事務の処理に当たって受け取った金銭その他の物は、委任者に引き渡す。

  • 民法 651条・653条
    解除と終了

    各当事者がいつでも解除でき(相手方に不利な時期の解除は損害賠償の問題になりうる)、委任者の死亡は原則として委任の終了事由になる。

  • 任意後見契約に関する法律 2条〜4条
    任意後見契約

    公正証書で結び、任意後見監督人が選任された時から効力を生ずる。

  • 民法 549条・554条
    贈与と死因贈与

    無償で財産を与える契約。死因贈与は贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与で、性質に反しない限り遺贈の規定が準用される。

ガイドラインに書かれた考え方と、条文の内容を結び付けた整理です。個々の契約への当てはめは、条項の中身と事実関係によって変わります。

この整理から、実務に響く点が三つ出ます。一つ目は報告です。民法645条は、委任者の請求があればいつでも、終了後は遅滞なく報告することを求めています。ガイドラインは、契約上の義務を履行したかどうかが争われたとき、事業者が履行についての主張・立証責任を負うことがあると述べ、サービスを提供した時期・内容・費用の記録を契約期間中残すよう促しています。記録は、利用者への報告であり、同時に事業者が自分の履行を示す資料です。

二つ目は、死亡との関係です。委任は、委任者の死亡で原則として終了します(民法653条1号)。そのため、死後事務を引き受ける契約では、死亡後も終了しない旨を明記する必要があります。この書き方は死後事務委任契約の書き方で扱います。

三つ目は、利用者が個人であるときの消費者契約法の重なりです。免責や解約料の条項は消費者契約法8条・9条で、利用者に一方的に不利な条項は同法10条で、無効かどうかが問われます。規約を不特定多数に画一的に使うなら、民法548条の2の定型約款の規定も関わり、相手方の利益を一方的に害する条項は合意をしなかったものとみなされます(同条2項)。契約の組み立ての段階で、これらの条文に照らして点検しておくことが、後の争いを減らします。

契約者は誰か:本人・家族・代理人

申込みの場面でもっとも多い混乱は、お金を払い、連絡を取り合うのが家族でも、サービスを受け、契約上の保護を受けるのは本人だということです。ガイドラインが主な対象とする事業者の要件の一つも、本人(契約者)と締結した契約に基づいてサービスを提供することです。家族が窓口になる場合でも、書類の上では、誰が契約者で、誰が申込みの手続をし、誰が費用を負担し、誰が緊急連絡先かを、別の役割として分けて書いておくのが基本です。

家族が本人に代わって契約する場合は、代理の問題になります。代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接効力を生じます(民法99条1項)。逆に、代理権のない者が他人の代理人としてした契約は、本人が追認しなければ本人に効力を生じません(同法113条1項)。「家族だから」というだけでは代理権の裏付けになりません。委任状のように代理権を示す書面を添えるか、本人が契約の内容を理解して自ら署名したことを記録しておく必要があります。

もう一つ、契約を結ぶ時点で本人に意思能力があったかどうかも問題になります。意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効です(民法3条の2)。ガイドラインは、契約の相手方が高齢者中心であり、加齢等により判断能力が既に低下している可能性もあるとして、あらかじめ利用者の意思能力を丁寧に確認したうえで契約することを求めています。契約の途中で判断能力が下がった場合の書き方は、判断能力が低下したときのページで扱います。

書き方の例(一般的な例) 契約者と申込者の書き方

申込書の署名欄

よくある書き方申込者欄に家族の氏名だけが書かれ、「ご本人の同意を得ています」と一文添えてある。
整えた書き方契約者(サービスを受ける本人)の欄と申込者(手続をする家族)の欄を分ける。家族が代理人として署名するときは、代理人であることと、代理権を示す書面を添付したことを書く。本人の署名または本人の意思を確認した日時と方法の記録も残す。

理由代理権の有無と、本人の意思の確認という二つの点で、契約の効力を後から問われにくくするため。

費用を払う人

よくある書き方請求書の宛名が家族で、誰がいつ支払う約束をしたのか、書類からは分からない。
整えた書き方費用の支払者が本人以外のときは、支払者の氏名と、支払者がどのような立場で支払うのか(本人の債務を肩代わりして支払うのか、支払の代行にとどまるのか)を書く。

理由支払者が負う責任の範囲があいまいだと、解約や返金の場面で、誰に何を請求できるのかが争いになるため。

緊急連絡先

よくある書き方緊急連絡先として書かれた親族が、契約の当事者のように扱われている。
整えた書き方緊急連絡先は、連絡を受ける人であって、契約上の義務を負う人ではない旨を、書面に書く。

理由連絡先に指定された人が、後で費用の請求を受けて驚くことを避けるため。

書類セットと役割分担

契約が三分類にまたがるときは、書類も一つにまとめず、役割ごとに分けます。ガイドラインは、サービスの内容や費用を重要事項説明書で丁寧に説明し、そのうえで契約書に明記して契約するという流れを繰り返し求めています。書類の役割は次のとおりです。

書類セットの役割分担

書類役割主な当事者主に書くこと
重要事項説明書契約の前に、判断の材料を渡す書面事業者から利用者へサービス内容と費用の区分、支払の時期と方法、解約と返金、預託金の管理、判断能力が低下したときの対応、相談窓口(詳細は勧誘と説明のしかた)
利用契約書(または会員規約)全体の枠組みを定める事業者と本人サービスの種類、費用、期間、解約、免責、個人情報、他の契約との関係
死後事務委任契約書死後の事務の範囲と費用を定める事業者と本人(履行時は相続人が委任者の地位を引き継ぐ)死亡で終了しない旨、事務の範囲、費用の上限、預託金の精算、報告先、辞任
財産管理等委託契約書通帳や支払の管理を定める事業者と本人管理する範囲、保管方法、記録、報告、任意後見の効力発生で終了する旨
任意後見契約書(公正証書)判断能力が低下した後の代理を定める本人と受任者(事業者以外の者でもよい)代理権の範囲。公正証書で別に作成する
個人情報に関する書面利用目的の明示と同意を残す事業者と本人利用目的、第三者提供、要配慮個人情報の取得についての同意
緊急連絡先・意向確認票緊急時の連絡先と本人の希望を記録する本人が記載、事業者が保管連絡してほしい先、かかりつけ医やケアマネジャー、事前に書いた意向の書面の保管場所

書類を分ける理由は、三つあります。一つ目は、契約ごとに終わり方が違うことです。見守りや生活支援は本人の死亡で終わり、死後事務は終わらず、財産管理等委託は任意後見が始まると終わります。一つにまとめると、どの条項がいつまで生きているのかが読み取れなくなります。二つ目は、本人が選べることです。全部入りの契約にすると、不要なサービスにも同意したことになり、理解して選んだと言いにくくなります。三つ目は、後から一部だけを見直せることです。法令や制度が変わったとき、死後事務だけを結び直す、財産管理だけをやめる、といった対応がしやすくなります。

書き方の例他の契約との関係を定める条文

  1. 本契約は、事業者が利用者に提供する日常生活支援の共通の条件を定めるものとし、死後事務、財産管理等及び任意後見に関する事項は、それぞれ別の契約(以下「個別契約」という。)により定める。
  2. 利用者は、個別契約を結ぶかどうかを自ら選ぶことができる。個別契約を結ばないことを理由として、本契約に基づくサービスの提供を拒まない。
  3. 個別契約が定める事項については、個別契約の定めが本契約に優先する。
  4. 一つの個別契約が終了しても、他の契約は終了しない。ただし、利用者について任意後見契約の効力が生じたときは、財産管理等委託契約は終了する。

「事業者」「利用者」「個別契約」は契約書の冒頭で定義する。第2項は、個別契約を条件にしないための条文で、贈与や遺贈を契約の条件にしない考え方(死因贈与・寄附・遺贈と契約)にもつながる。

確認の問いと理由契約書を作る前に自分に聞く問い

  1. この契約は、見守りから死後事務までのどの段までを引き受けるのか。

    段を決めずに作ると、利用者に頼まれるたびに条文の外で対応が広がり、責任の範囲があいまいになる。

  2. 契約者は本人か、家族か。費用を払う人は誰か。

    契約者と支払者が別のとき、解約や返金の相手方が決まらなくなる。

  3. 預かるお金はあるか。あるなら、運転資金と分けられるか。

    ガイドラインは、預託金の区分管理と定期報告を求めている。預かるなら、契約書と運用の両方で分ける。

  4. 本人の判断能力が下がったとき、誰に何を伝え、どの契約が終わるのか。

    判断能力が落ちてからでは、本人と話し合って決めることが難しい。契約の時点で書いておく。

  5. 本人の死後に続く契約は、どれか。誰に報告するのか。

    死後に続く契約は、本人が履行を見届けられない。報告先と点検の仕組みを先に決めておく。

  6. 共通の約款や、ホームページでの情報の公開を用意するか。

    ガイドラインは、費用や解約などの情報を事業者が事前に公開しておくことを求めている。

公的な仕組みとの違いと、つなぎ方

民間の高齢者支援サービスは、公的な仕組みの代わりではなく、重なる部分では連携するものです。代表的なのが、社会福祉協議会などが行う福祉サービス利用援助事業です。社会福祉法は、精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料または低額な料金で、福祉サービスの利用に関する相談・助言、手続や費用の支払に関する便宜の供与などを一体的に行う事業を、福祉サービス利用援助事業として第二種社会福祉事業に位置づけています(同法2条3項12号)。事業を行う者は、利用者の意思決定の支援に配慮しつつ、意向を十分に尊重しなければならず(同法80条)、都道府県社会福祉協議会は、その事業が広くあまねく実施されるように必要な事業を行います(同法81条)。

この事業の条文上の範囲は、福祉サービスの利用に関する援助です。入院や入所の連帯保証、死亡後の葬送や行政手続の引受けまで含む民間の終身サポートとは、守備範囲が同じではありません。なお、社会福祉法2条3項12号は、令和8年法律第51号による改正が予定されています(施行予定は2028年6月24日)。このサイトは現行の条文に沿って書いていますので、改正の内容と施行の時期は、所管官庁の資料で確認が必要です。

介護保険や障害福祉の指定を受けた事業所のサービスは、運営基準に沿った別の書類体系で動いています。ガイドラインも、日常生活支援の一部を、利用者の許諾を得て他の事業者に復委任し、介護保険給付の範囲外の保険外サービスとして担ってもらうことがありうるとし、ケアマネジャーとの連携を求めています(復委任は民法644条の2第1項)。自ら提供できないサービスを利用者が望むときに、他の事業者を紹介する対応も、ガイドラインは例として挙げています。

判断能力が低下したときの成年後見制度との関係は、重要な接続点です。任意後見契約は、本人が将来に備えて信頼できる人に代理権を与えておく契約で、公正証書で結び、任意後見監督人が選任されたときから効力が生じます。その時点で、事業者が結んでいた財産管理等委託契約は終わる旨を書いておく、というのがガイドラインの考え方です。詳しくは判断能力が低下したときのページで扱います。

医療や介護の場面では、事業者が単独で動くのではなく、かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどと連絡をとれる関係をつくっておくことが、基本的な考え方としてガイドラインに書かれています。入院時の事業者の役割と医療同意の線引きは医療の同意・緊急連絡先・入院時の関わり方で整理しています。

起きがちなこと:全体像でつまずく場面

場面別・起きがちなこと

  • 見守りのつもりで始めたのに、頼まれるままに立替払いを重ね、いつの間にか通帳や暗証番号を預かる状態になる。契約書は見守りのままで、お金の預かりの根拠になる書類がない。
  • 申込書の署名が家族で、本人は契約の内容を知らない。後になって本人が「頼んでいない」と述べたり、契約時の判断能力が疑われたりして、契約の効力が争われる。
  • 一つの会員規約に死後事務まで同居させたため、死後事務を望んでいない人も同意したことになっている。
  • 費用を「サービス費用一式」とまとめてしまい、入会金・預託金・利用の都度の費用の区別がつかない。解約のときに返金の範囲を説明できない。
  • 免責の条項が「一切責任を負わない」と書かれており、消費者契約法8条に照らして無効になりうる。
  • 契約書を交付していない。ガイドラインも、消費生活相談では「契約書が交付されていない」という相談が寄せられていると指摘している。
  • 本人の死後に続く契約があるのに、報告先や点検の仕組みがなく、相続人から問い合わせを受けて初めて説明に窮する。

これらは、契約の中身の問題である前に、「どの段を引き受けるのか」を決めないまま書類を作り始めたことから生じる場合が多いものです。起きがちな問題の整理と、困ったときの確認の順序は、契約トラブルとよくある質問にまとめています。解約や返金の書き方は契約の変更・解約・返金・終了、預託金の扱いは預託金・前払金の管理で扱います。

よくあるご質問

見守りだけを提供する場合も、ガイドラインの対象になりますか。

ガイドラインが主な対象とするのは、身元保証等サービスと死後事務サービスの両方を提供し、本人と契約し、事業として継続的に提供する事業者です。見守りや生活支援だけの事業者は、この要件には当たりません。ただし、ガイドラインは、表1のような支援に関わるその他の関係者も参照することが望ましいとしているので、契約書や説明書を作るときの参考にすることはできます。

身元保証を引き受けると、必ず連帯保証をすることになりますか。

なりません。ガイドラインの表1が挙げる身元保証等サービスは、連帯保証、入院・入所や退院・退所の手続の代行、身柄の引取り、医療に係る意思決定の支援への関与、緊急連絡先の受託と緊急時の対応など、複数の中身に分かれます。契約書では、項目ごとに引き受けるか引き受けないかを書き分けます。詳しくは身元保証の契約書のページで扱います。

契約は一つの書類にまとめたほうが、分かりやすいのではありませんか。

一つにまとめると、読む量は減りますが、どの条項がいつ終わるのかが分からなくなります。見守りや生活支援は本人の死亡で終わり、死後事務は終わらず、財産管理等委託は任意後見が始まると終わるように、契約ごとに終わり方が違うためです。本人が選べる形にするためにも、役割ごとに書類を分け、相互の関係を定める条文を置くほうが適しています。

家族が申し込む場合、契約者は誰になりますか。

誰を契約者とするかは、申込みの形で決まります。本人を契約者とし、家族が代理人として手続をするのであれば、代理権を示す書面と、本人の意思を確認した記録を残します。家族自身が契約者になる形もありえますが、その場合は、サービスを受ける本人と契約者が別になることを書類上で明らかにし、費用の負担者の責任の範囲も書きます。代理権のない者がした契約は、本人が追認しなければ本人に効力が生じません(民法113条1項)。

死後事務は、本人が亡くなると契約が終わってしまうのではないですか。

委任は、委任者の死亡で原則として終了します(民法653条1号)。ガイドラインは、死後事務委任契約では、委任者が死亡しても契約は終了せず、相続人が委任者の権利義務を承継する旨を明記することが望ましいとしています。この書き方は、死後事務委任契約のページで扱います。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は法律ではなく、事業者が自主的に確かめるための指針として示されたものです。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会

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