このページの要点
- 解約の手順は、契約書・説明書・案内に同じ言葉で書き、求められたら具体的に伝える(消費者契約法3条1項4号)。
- 解約料は、解除の時期の区分ごとに、同種の契約の解除に伴う平均的な損害を超えない額にし、算定根拠を説明できるようにする。
- 入会金・会費・預託金・都度払いを区分し、どれがどう戻るかを書く。死後事務は委任者の死亡で終わらない旨を明記する。
- クーリング・オフは契約の結び方で変わる。訪問販売の枠組みと、特定継続的役務提供の指定役務に当たらない点を条文で確かめる。
結論:解約の道筋は入口で示し、お金は区分ごとに精算し、終わり方は場面ごとに書く
高齢者支援の契約は長く続き、前払いの費用が絡み、死後事務のように本人の死亡後にも続く部分を含みます。そのため、一般の継続的な契約に比べて、途中で解約したくなる場面が多く、解約のときの食い違いも深刻になりやすい性質があります。ガイドラインも、契約期間が長期であったり契約金額が高額であったりする場合には契約の途中で解約を求める可能性も高いと指摘し、解約等に関する取扱いは、重要事項説明のときに書面を交付して説明することが特に望ましいとしています。
このページの結論は、次の四つに整理できます。
解約・返金・終了を設計するときの四つの柱
- 解約の手順:利用者の求めに応じて、解約に必要な具体的な手順を伝える(消費者契約法3条1項4号)。
- 解約料:同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は無効(消費者契約法9条1項1号)。求められたら算定根拠の概要を説明する努力義務がある(同条2項)。
- 返金:入会金、年会費、預託金、提供済みのサービス費用を区分し、どれがどのように戻り、どれが戻らないかを書く。
- 終了:本人の解約、本人の死亡、事業者側の事情、判断能力の低下など、場面ごとに、契約が終わるのか続くのかを書く。
預かっている間の預託金の管理は預託金・前払金の管理のページで扱い、このページでは、終わるときの精算と手続を整理します。契約の全体像は契約の全体像のページでご覧いただけます。
解約の手順を伝える:入口で示し、求められたら具体的に伝える
消費者契約法3条1項4号は、事業者に対し、消費者の求めに応じて、消費者契約により定められた当該消費者が有する解除権の行使に関して必要な情報を提供するよう、努めることを求めています。努力義務ですが、ガイドラインは、消費生活相談に、消費者が実際に契約を解約しようとしたときに解約方法が分からないという相談が寄せられていることを挙げ、利用者から求めがあれば、契約を解除するときに必要な具体的な手順等の情報を提供する努力義務を負う、と整理しています。チェックリストには、法令に根拠のある項目として、「利用者の求めた際に、解約に必要な手順を伝えている」が入っています。
解約手順の情報は、利用者が求めてから初めて出すのでは遅く、契約書と重要事項説明書の中に、はじめから書いておくのが実務的です。書くべき内容は、次のとおりです。
確認の問いと理由解約手順について、契約書に答えを置いておきたい問い
誰が、どの方法(書面、電話、画面)で、誰宛に解約を通知するのか
通知の方法が一つしか書かれていないと、利用者が体調を崩している場面で、手続が負担になります。本人が難しいときに、家族や成年後見人等が通知できるかも、あわせて書きます。
解約の通知は、いつまでに到達すればよいのか
月単位のサービスであれば、いつまでの通知で翌月から止まるのかを具体的に示します。期限を過ぎたときの扱いも書きます。
解約の効力は、通知が届いたときか、一定の日か
効力の発生時期が曖昧だと、解約後の費用の請求をめぐって食い違います。
解約後に行う手続(預託金の精算、記録の返却、緊急連絡先の変更の連絡)は何か
解約は通知で終わりではなく、精算と引継ぎがセットです。事業者側が行う事項と、利用者側に求める事項を分けて書きます。
解約を申し出たときの相談窓口はどこか
ガイドラインは、相談を一元的に受ける窓口の設置と、連絡先をホームページと重要事項説明書に記載することを望ましいとしています。
解除の方法が分からないという状態は、事業者の悪意でなくても生じます。契約書の解約条項と、ホームページの案内と、重要事項説明書の説明が、それぞれ別の表現で書かれ、利用者が一つの手順にまとめられない、という事情があります。三つの書面で同じ手順を同じ言葉で書くことが、解約の道筋をはっきりさせる有力な方法です。
解約料:平均的な損害を超える部分は無効、算定根拠は説明できるようにする
消費者契約の解除に伴って、損害賠償の額を予定し、または違約金を定める条項は、これらを合算した額が、条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、その超える部分が無効となります(消費者契約法9条1項1号)。ガイドラインも、高齢者等終身サポート事業者が解約料を定める際には、この条項に適合するよう留意する必要がある、としています。
ここでいう平均的な損害とは、その契約が解除されたときに、事業者が通常負担することになる損害の額のことです。準備にかけた実費、すでに手配した費用、解約により失う逸失利益などが材料になります。ただし、解除の事由や時期の区分ごとに、それに見合った額でなければなりません。どの時点で解約しても同じ高額の解約料を取る、という設計は、区分ごとの平均的な損害に対応しているかどうかが問われます。
さらに、事業者は、消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定または違約金の算定の根拠の概要を説明するよう努めなければなりません(消費者契約法9条2項)。ガイドラインは、ここでいう算定根拠の概要を、違約金等を事業者が設定するにあたって考慮した事項、その事項を考慮した理由、使用した算定式、金額が適正と考えた根拠など、違約金等を設定した合理的な理由を意味するものと考えられる、と説明しています。チェックリストにも、法令に根拠のある項目として、解約料の適正な金額と、算定根拠の概要を説明できることが挙げられています。
なお、ガイドラインの注記には、適格消費者団体が、高齢者等終身サポート事業者の使用していた解約料条項について、消費者の利益を一方的に害する条項であり無効(消費者契約法10条)であるとして差止請求を行い、最終的に和解した事案がある、との記載があります。解約料の条項は、団体による申入れや差止請求の対象にもなりうる、という実務上の注意点を示すものです。
書き方の例(一般的な例) 解約料の条項
金額の定め方
理由解除の時期の区分ごとに、事業者に生ずる平均的な損害に対応した額にします。区分と額の理由が、後で説明できる形で整理されている必要があります。
算定根拠の扱い
理由法律上は努力義務ですが、説明できないほど根拠が曖昧な解約料は、そもそも設定の合理性を疑われます。内部で算定の資料を残しておきます。
責任の免除
理由債務不履行の責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項1号により無効です。故意または重大な過失による場合の一部免除も無効とされます(同条1項2号)。
解約料以外の費用の名目に注意します。「事務手数料」「精算手数料」「契約終了手数料」といった名目で、実質的に解約料を上乗せしていないかどうかを点検します。名目が違っても、解除に伴う違約金や損害賠償の額の予定として働くものは、9条1項1号の対象になりうるからです。
思いとどまらせる説明と、委任の解除の自由
解約を申し出た利用者に対し、事業者が引き止めるために、不安をあおる説明をする場面があります。ガイドラインのチェックリストには、「解約を申し入れた際に、解約を過度に制限する不当な説明をしていない」という項目があり、不当な説明の例として、「解約を考え直してくれなければ困る」「『解約すると生活が維持できなくなる』と不安を煽る」などが挙げられています。この項目は、法令の根拠がある項目ではなく、望ましい対応として示されているものです。
契約を結ぶ前の勧誘については、消費者契約法4条が不当な勧誘による取消しを定めています。特に、加齢または心身の故障により判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関し現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、契約を締結しなければ現在の生活の維持が困難となる旨を告げる行為は、取消しの対象になります(同条3項7号)。ただし、これは契約の締結についての勧誘に関する規定であり、解約の申出を受けた場面にそのまま当てはまるわけではありません。解約の場面では、後で述べる民法の解除の自由を前提に、事業者の説明が、利用者の判断をゆがめる性質を持たないか、という点を点検します。
委任契約の基本として、民法651条1項は、委任は各当事者がいつでもその解除をすることができる、と定めています。同条2項は、解除した者は、相手方に不利な時期に委任を解除したとき、あるいは委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したときは、相手方の損害を賠償しなければならない、ただしやむを得ない事由があったときはこの限りでない、と定めています。高齢者支援の契約が準委任と整理される場合(民法656条)、利用者はいつでも解除できるのが原則です。事業者が解約料を取る場合も、この解除の自由を事実上妨げる水準になっていないかを確かめる必要があります。
報酬との関係では、民法648条3項が、委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる、と定めています。解約の場面での精算は、本来、すでに提供したサービスの割合に応じて行う、という考え方が基本になります。前払いの費用がある場合は、提供済みの部分を差し引き、残りを返す、という計算になります。
返金の区分と精算の書き方
返金をめぐる食い違いの多くは、「どの費用が、どの区分のお金なのか」が曖昧であることから生じます。ガイドラインも、契約変更や解約時の返金に関する取扱いを、費用ごとに区分して記載することが望ましいとしています(事業者の情報開示の項目)。区分ごとに、戻るのか、戻らないのか、戻るとすればどう計算するのかを書く、というのが基本です。
費用の区分ごとの精算の考え方(一般的な例)
| 費用の区分 | 解約時の考え方 | 契約書に書くこと |
|---|---|---|
| 入会金 | 入会の手続や登録の対価として支払うもの。返金しないとする扱いもあるが、その根拠が説明できる必要がある | 返金の有無、返金しない場合の理由(何の対価か)、解約時期による区別の有無 |
| 年会費・月会費 | 期間に対する対価。期間の途中で解約したとき、未経過期間の分をどうするか | 日割りか月割りか、返金の計算方法、解約の通知から効力発生までの期間の扱い |
| 預託金 | 使い道が決まった前払金。使っていない部分は戻るのが基本 | 精算の時期、差し引ける費用の範囲、返還先と方法、返還までの日数 |
| 都度払いのサービス費用 | 提供済みの分は支払う。未提供の分は発生しない | 最終の請求の時期と方法、明細の交付 |
| 解約料 | 平均的な損害を超える部分は無効 | 金額の区分と算定の考え方、算定根拠の説明 |
書き方の例解約時の精算(一般的な例)
- 利用者が本契約を解約したときは、事業者は、解約の効力が生じた日から○日以内に、次のとおり精算します。
- (1)提供済みのサービスの費用は、預託金から差し引き、その明細を利用者に交付します。
- (2)預託金の残額は、利用者が指定する口座に返還します。返還にかかる振込手数料は、事業者の負担とします(または、残額から差し引きます)。
- (3)前払いの会費のうち、解約の効力が生じた日以後の期間に相当する額は、日割りで返還します。入会金は、返還しません。ただし、サービスの開始前に解約したときは、事業者が既に支出した実費を除いて返還します。
- 事業者は、精算の結果を記載した書面を、利用者に交付します。
日数や手数料の負担は伏せてあります。実際の条文は、費用の区分ごとの扱いを、事業の実態に合わせて決めます。
「入会金は返還しない」という定めには、それが何の対価なのかを説明できることが前提になります。入会の手続や登録のための作業が実際に行われていれば、その費用相当額は事業者に生じた損害や費用と整理できます。一方、入会金という名目で、実質的にサービスの提供を受ける前の解約料を取っているのではないか、と見られるなら、消費者契約法9条1項1号の観点から点検が必要になります。
預託金の返還については、利用者本人が生存中に解約する場合と、死亡により契約が終わる場合とで、返還先が異なります。後者は、相続人が委任者の地位を承継しているため、相続人に対する報告と精算になります(民法645条)。
契約の終わり方:場面ごとに、終わるもの・続くものを書く
契約の終了は、一つの事由で、契約の全部が終わるとは限りません。高齢者支援の契約は、見守り、生活支援、身元保証、死後事務、財産管理など、性質の異なる部分の集まりであり、終わる場面ごとに、どの部分が終わり、どの部分が続くのかが変わります。
終了の場面と、契約への影響(一般的な整理)
| 場面 | 終わる部分 | 続く部分・注意点 |
|---|---|---|
| 利用者が契約を解約したとき | 解約した契約の全部または一部(通知の範囲による) | 解約の範囲を明確にする。死後事務だけを残すなど、部分的な解約ができるかを書く |
| 利用者が亡くなったとき | 見守りや生活支援などの、生前のサービスを内容とする契約。委任は原則として委任者の死亡で終了する(民法653条1号) | 死後事務委任契約は、委任者が死亡しても終了せず、相続人が権利義務を承継する旨を契約書に明記する。ガイドラインがその明記を望ましいとしている |
| 事業者側に事情が生じたとき(廃業、災害、清算など) | 契約の履行が困難になった部分 | ガイドラインは、事業継続計画と清算の対応方針をあらかじめ定めておくことを望ましいとしている。預託金の返還の手順も含めて示す |
| 利用者の判断能力が低下したとき | 判断能力の低下のみを理由に終わらせる書き方は、避ける | 任意後見の発効などで財産管理等委託契約が終わる旨を書く。詳しくは別のページ(判断能力が低下したとき)で扱う |
| 相続人が、本人の意思に反して契約の解除や変更を求めたとき | (相続人の申出に応じるかは、事案による) | ガイドラインは、まずは本人の意向を丁寧に説明して理解を得るよう努めることが望ましいとし、なお求められるときは、法的な紛争を避ける観点から、合意による解除や変更も考えられるとしている |
民法653条1号は、委任者の死亡を委任の終了事由としています。そのため、死後事務委任契約を結ぶときは、委任者が死亡した場合においても契約は終了せず、相続人は委任者の契約上の権利義務を承継する、という趣旨を契約書に明記しておくことが望ましいとされています。この点は死後事務委任契約の書き方のページで、相続人との関係とあわせて扱っています。ここでは、生前の契約の終了と、死後事務の続行を、条項の上で切り分けておくことを確認しておきます。
契約の変更についても、同じ整理が使えます。サービス内容や費用を変更するときに、事業者が一方的に規約を改定できるとする書き方は、定型約款の変更の規定(民法548条の4)の要件に沿っているかを点検します。この規定は、変更が相手方の一般の利益に適合するとき、または契約をした目的に反せず、変更の必要性、変更後の内容の相当性、変更することがある旨の定めの有無およびその内容その他の事情に照らして合理的なものであるときに、個別の合意なく契約内容を変更できるとし、効力発生時期を定めて変更の内容を周知しなければならない(同条2項)、としています。利用者の同意を得ずに、継続利用をもって同意とみなす書き方は、この要件を満たしているか、確かめる必要があります。
クーリング・オフは当てはまるか:訪問販売と特定継続的役務提供の整理
契約後に一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度として、クーリング・オフがあります。高齢者支援サービスの契約が、クーリング・オフの対象になるかどうかは、契約の結び方によって変わります。ここでは、条文の枠組みだけを整理します。個別の契約への当てはめは、契約の経緯や場所によって異なるため、条文と所管官庁の資料で確認が必要です。
特定商取引法の枠組み(クーリング・オフに関わる部分)
- 特定商取引法 2条1項訪問販売
役務提供事業者が営業所等以外の場所で、役務提供契約の申込みを受け、または契約を締結して行う役務の提供。利用者の自宅に事業者が訪問して契約を結ぶ場面が典型。
- 特定商取引法 9条1項申込みの撤回・契約の解除
法定の書面を受領した日から起算して8日を経過するまで、書面または電磁的記録により申込みの撤回または契約の解除ができる。撤回等があったときは、損害賠償または違約金の請求はできない(同条3項)。
- 特定商取引法 26条6項1号請求による訪問の除外
その住居において契約の申込みをし、または契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売には、4条から10条までの規定は適用されない。
- 特定商取引法 24条・26条電話勧誘販売
電話勧誘販売に当たる場合には、同様のクーリング・オフの規定がある。通信販売には、訪問販売のような法定のクーリング・オフはない。
- 特定商取引法 41条・48条、施行令別表第四特定継続的役務提供
特定継続的役務提供は、政令で定める役務に限られる。別表第四には、エステ、美容医療、語学、学力の教授、電子計算機の操作の教授、結婚を希望する者への異性の紹介が掲げられている。
この表は条文の枠組みの紹介です。実際の契約が訪問販売に当たるか、請求による訪問に当たるかは、契約の経緯によって異なります。
この整理から分かることは三つあります。第一に、事業者が利用者の自宅を訪問して契約の勧誘をし、契約を結んだ場合は、訪問販売に当たる可能性があり、その場合、法定の書面を受領した日から8日以内は、書面または電磁的記録による撤回等ができます。その場合は、損害賠償や違約金の請求ができず、すでに役務が提供されていても対価の請求ができません(特定商取引法9条5項)。第二に、利用者が自宅で契約を結びたいと自ら請求して事業者が訪問した場合は、26条6項1号により、9条の適用が除かれます。ただし、何が「請求」に当たるかは、契約の申込みや締結を請求したかどうかで判断されるため、単に相談を求めた、というだけでは足りない場合があり、個別の確認が必要です。第三に、事業者の営業所で契約を結んだ場合や、通信販売で申込みを受けた場合は、訪問販売のクーリング・オフは当てはまりません。
特定継続的役務提供は、政令で指定された役務に限って適用されます。施行令別表第四には、見守り、身元保証、死後事務といった高齢者支援の役務は掲げられていません。高齢者支援サービスは、この制度の対象としては、条文上、挙げられていません。したがって、契約書に「特定継続的役務提供に当たる」と書いたり、逆に何も確認せずに書面を整えたりするのではなく、役務の内容が別表第四のどれに当たるか(当たらないか)を、条文で確かめるのが出発点です。
クーリング・オフが使えない場合でも、契約の取消し(消費者契約法4条)、不当な条項の無効(同法8条・9条・10条)、民法上の解除(民法651条)といった別の道があります。契約の入り口での勧誘と説明の注意点は勧誘と説明のしかたのページにまとめています。
起きがちなこと:解約・返金・終了をめぐる場面と備え
解約・返金・終了をめぐる、時点ごとの場面
解約を考え始めたとき
起きがちなことどこに、どのように連絡すれば解約できるのか分からない。契約書の条文と、ホームページの案内と、説明の書面で言い方が違う。
契約書・説明書での備え解約の通知先、方法、期限、効力発生日を、三つの書面で同じ言葉で書く。求められたら具体的な手順を伝える。
解約を申し出たとき
起きがちなこと「考え直してほしい」「解約すると生活が成り立たなくなる」と言われ、申出をためらう。
契約書・説明書での備え解約を過度に制限する説明をしない。説明が必要な事情があるなら、事実を示し、判断は本人に委ねる。
解約料を告げられたとき
起きがちなこと高額の解約料を請求されるが、どう算定したのか説明がない。
契約書・説明書での備え解除の時期の区分ごとに額を設定し、算定根拠の概要を説明できるよう資料を残す。
精算するとき
起きがちなこと預けたお金のうち、何が戻り、何が戻らないのかが分からない。明細がない。
契約書・説明書での備え入会金・会費・預託金・都度払いを区分して精算し、明細を交付する。
利用者が亡くなったとき
起きがちなこと生前のサービスは終わるが、死後事務の契約は続く。相続人が契約の存在を知らず、事業者の連絡に戸惑う。
契約書・説明書での備え死後事務は終了しない旨と、相続人の権利義務の承継を明記する。報告先を契約時に決め、相続人に経過と結果を報告する。
事業者側に事情が生じたとき
起きがちなこと事業者の廃業や連絡不能により、預託金の行方が分からなくなる。
契約書・説明書での備え事業継続計画と清算の対応方針を定め、預託金の返還の手順を公表する。
起きがちなこと:解約・返金で見落とされやすい点
- 解約の手順が契約書の中に書かれておらず、利用者が求めて初めて口頭で伝えている。
- 解約料を、時期にかかわらず一律の高額にしている。算定根拠の資料がない。
- 「入会金は返しません」とだけ書き、何の対価なのかを説明していない。
- 「事務手数料」「精算手数料」の名目で、実質的な解約料を上乗せしている。
- 死後事務委任契約が、委任者の死亡で終了するように読める書き方になっている。
- 規約の変更を、継続利用をもって同意とみなす書き方にしている。
- クーリング・オフが当てはまる可能性を確かめないまま、「一切の返金をしない」と書いている。
解約と返金は、契約書の終わりの数条にとどまらず、入口の説明、途中の記録、終わりの精算まで続く一連の流れです。問題が生じた後の確認の順序は契約トラブルとよくある質問のページに整理しています。
よくあるご質問
解約するとき、事業者に解約の手順を教えてもらう権利はありますか。
消費者契約法3条1項4号は、事業者に対し、消費者の求めに応じて、契約で定められた解除権の行使に関して必要な情報を提供するよう努めることを求めています。努力義務ですが、ガイドラインは、利用者から求めがあれば具体的な手順を提供する努力義務があると整理しています。解約の手順は、契約書にはじめから書いておくのが実務的です。
解約料はいくらまで請求できますか。
消費者契約法9条1項1号により、解除に伴う違約金等を合算した額が、解除の事由・時期等の区分に応じて、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合、超える部分は無効です。具体的な上限額は一律には決まらず、契約の内容と解除の時期の区分ごとに判断されます。説明を求められたときは、算定根拠の概要を説明するよう努める必要があります(同条2項)。
預託金は解約すれば全額戻りますか。
預託金は、将来の費用に充てるために預けたお金なので、使っていない部分は戻るのが基本です。ただし、すでに提供されたサービスの費用は差し引かれます。差し引ける費用の範囲と、返還の時期・方法は、契約書で確かめます。入会金や会費は、預託金とは別の区分で、返金の扱いが異なることがあります。
利用者が亡くなったら、契約はすべて終わりますか。
委任は、委任者の死亡で終了するのが原則です(民法653条1号)。ただし、死後事務委任契約は、委任者が死亡した場合でも終了しない旨を契約に明記することが望ましいとされています。生前のサービスの契約は終わり、死後事務の契約は続く、というように、部分ごとに扱いが分かれます。
高齢者支援サービスの契約にも、クーリング・オフはありますか。
契約を結んだ状況によります。事業者が自宅を訪問して契約した場合は、訪問販売に当たる可能性があり、その場合は法定の書面を受領した日から8日以内は撤回等ができます(特定商取引法9条)。ただし、自ら契約を請求して訪問を受けた場合などは除かれます(同法26条6項1号)。特定継続的役務提供は、政令で定める役務に限られ、見守りや身元保証、死後事務は別表第四に掲げられていません。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は法律ではなく、事業者が自主的に確かめるための指針として示されたものです。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会