このページの要点
- 医療同意は一身専属性が高く、身元保証人等の第三者に権限はないと整理されている。契約書に「同意を行わない」と書く。
- 事前の意向の書面は、内容に助言せず、保管・更新・提示の手順と記録を決めて預かる。渡すのは本人の意思が確認できる場合を基本にする。
- 緊急連絡先の受託では、夜間・休日の体制、駆けつけの目安、費用を説明する。体制がなければ、その旨を書く。
- 本人の意思が確認できないときは、医療・ケアチームが最善を判断する。事業者は、書面や面談記録など、意思を推定する材料を提供する。
結論:事業者に医療の同意をする権限はない。できるのは、事前の意向の書面の預かり、同席、緊急連絡、手続の支援まで
入院するとき、手術や検査の前に、病院から「同意書にサインをしてください」と言われることがあります。身寄りのない方の入院では、その署名を、身元保証を引き受けた事業者に求める病院もあります。国の「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」(令和6年6月。以下「国のガイドライン」)は、これについて次のように整理しています。
- 医療同意そのものは、利用者の身体・生命に関わり、一身専属性が高い事柄であるため、事業者を含む「身元保証人・身元引受人等」の第三者には、同意の権限はないと考えられる。
- ただし、同意そのものではない関わり方として、利用者が事前に作成した意向の書面を預かり、利用者の意思が確認できる場合には確認のうえで医師等へ渡すこと、利用者が希望するときに医師等の説明の場へ同席することは、差し支えないと考えられる。
- 入院手続(説明への立会い、費用の支払の代行など)の支援は、契約書に明記している場合に、利用者の意思を十分踏まえて行える。
つまり事業者は、「本人に代わって決める人」ではなく、「本人の意思が医療の現場に届くように支える人」の立場です。契約書と重要事項説明書には、この線引きを、できること・できないことの両方で書いておく必要があります。線引きが書かれていないと、病院は事業者に判断を求め、事業者は断りきれず、署名をしてしまう、という流れになりがちです。
このページは、医療同意に権限がない理由、医療機関が身元保証等に求める六つの役割と事業者が担える範囲、事前の意向の書面、入院時の場面、緊急連絡先、退院と本人の意思が確認できないときの順に述べます。身元保証の契約全体(連帯保証、求償、手続支援)は身元保証サービスの契約書、判断能力が低下したときの契約の扱いは判断能力が低下したときで別に整理しています。なお、医療上の判断や医療行為そのものは、事業者の業務ではありません。このサイトでも、医療の専門的な判断には立ち入りません。
医療同意とは何か:なぜ第三者である事業者に権限がないのか
医療の現場では、手術や侵襲のある検査の前に、患者本人の同意を得ることが前提とされています。医療法1条の4第2項は、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないと定めています。この「医療を受ける者の理解を得る」相手は、第一には患者本人です。
厚生労働省が公表している「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」(以下「厚生労働省の身寄りがない人のガイドライン」)は、医療機関が「身元保証・身元引受等」に求める役割に、医療行為の同意をする役割を期待している事例があることを紹介したうえで、医療行為の同意は本人の一身専属性がきわめて強く、「身元保証人・身元引受人等」の第三者には同意の権限はないと考えられる、と整理しています。さらに、本人の判断能力が不十分な場合についても、成年後見人等の第三者が医療に係る意思決定・同意をできるとする規定はなく、同意を行うことは後見人等の業務に含まれているとは言えない、としています。
では、本人の意思が確認できないときはどうなるのか。同じ資料は、本人以外の第三者の決定・同意について、法令等で定められた一般的なルールは現時点ではなく、社会通念や各種のガイドラインに基づいて個別に判断されている、と書いています。慣習として家族が同意書に署名することが行われてきたため、病院は同じ運用を、身寄りのない人の「身元保証人」に求めてしまうわけです。しかし、署名があるからといって、署名した人に法的な同意の権限が生じるわけではありません。署名した事業者が、治療の内容について責任を問われる形になりかねないことも、避けるべき点です。
このページで使う根拠
- 医療法 1条の4第2項説明と理解
医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。
- 医師法 19条1項診療の求め
診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。
- 国のガイドライン 第3・2(1)ア入院時の対応
医療同意の権限は事業者にない。事前の意向の書面の提示と、説明の場への同席は差し支えない。入院手続の支援は契約書に明記している場合に行える。
- 厚労省ガイドライン 2(2)・4身寄りがない人の支援
身元保証等に求められる六つの役割の整理と、医療に係る意思決定が困難な場合の医療・ケアチームや倫理委員会の活用。
条文は e-Gov 法令検索で、ガイドラインは公表されている原文で確認しています。
医療機関が「身元保証・身元引受」に求める六つの役割と、事業者が担える範囲
厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインは、医療機関が「身元保証・身元引受等」に求める機能・役割を、次の六つに整理しています。事業者が契約を結ぶときは、病院が求める役割のうち、どれを事業者が担えて、どれは担えないのかを、あらかじめ整理しておくと、入院のときに混乱しません。
病院が求める六つの役割と、事業者の関わり方
| 病院が求める役割 | 事業者が担えること | 担えないこと・注意 |
|---|---|---|
| ①緊急の連絡先 | 契約に基づき受託する。夜間・休日の体制と費用を説明する | 連絡がつく体制がないのに受託すると、緊急時に応答できない |
| ②入院計画書に関すること(説明の場) | 本人の意向があれば説明の場に同席する | 同席は本人の希望が前提。本人に代わって治療方針を決めることはできない |
| ③入院中に必要な物品の準備 | 日常生活支援(物品の購入・配達)として別に契約し、有償で行う | 医療の内容に関わる物品の判断(医療機器など)は含めない |
| ④入院費等の支払い | 契約書に明記していれば支払の代行ができる。預託金や財産管理等委託契約の定めに従う | 本人に支払能力があれば、原則は本人が支払う。出納の記録は残す |
| ⑤退院支援 | 退院後の生活の意向を確認し、選択肢を分かりやすく情報提供する | 転院・施設の選択を、主治医等の判断を超えて決めることはできない |
| ⑥死亡時の遺体・遺品の引取り、葬儀等 | 死後事務委任契約に基づく | 生前の契約に含めず、死後事務の契約で範囲と費用を決める |
表の①から⑥のうち、医療の同意は含まれていません。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインも、六つとは別に、医療行為の同意を期待する事例があると書き、そのうえで第三者に同意の権限はない、と整理しています。契約書の中で、医療同意は「引き受けない」と明確に書く理由はここにあります。
③と④は、生活支援や財産管理と重なる部分です。物品の買い物や配達、支払の代行は、日常生活支援と財産管理等委託契約で、範囲や記録のとり方を別に決めておけば、入院のたびに新たに話し合う必要がなくなります。⑥は、死後事務委任契約の書き方で扱います。
事前の意向の書面:預かる、更新する、渡す
医療の同意はできなくても、本人が元気なうちにどのような医療や介護を望むのかを書面に残しておけば、いざというとき、本人の意思を医療の現場に届ける材料になります。国のガイドラインは、入院・入所が必要になったときに、本人が希望する医療や介護をより円滑に提供する観点から、本人の希望をあらかじめ書面に残しておくことが望ましいとし、書面の内容は面談等を活用して定期的に本人の意思を確認することが望ましい、としています。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインも、本人が「事前指示書」や「エンディングノート」などを記載していないかを確認すること、また、地域で事前指示書のセミナーや説明会が行われている場合に、希望する人にそれを周知・紹介することも考えられる、と書いています。
事業者が書面を預かる場合は、書面の内容そのものは本人の意思であり、事業者が内容を誘導したり、治療の選択肢を決めたりしてはならない、という前提を契約書に置きます。書面は、医療機関が本人の意思を尊重した対応をとるための材料になり得ますが、事業者が医療の内容を決める手段ではありません。
意向の書面の扱い(作成から提示まで)
- 本人が書面を作る本人が自分の言葉で、希望する医療や介護、連絡してほしい相手などを書く。事業者は、様式や記入の例を示すにとどめ、内容を指示しない。
- 事業者が預かる/保管場所を決める原本を預かるのか、写しを預かるのか、自宅のどこに置くのかを決め、預かった日と書面の版を記録する。
- 定期の面談で更新する本人の状況や希望の変化を反映するため、面談で意向を確認し、変更があれば書面を作り直す。更新の頻度を契約書や説明書に書く。
- 入院のとき、本人の意思を確認して渡す入院時に、本人の意思が確認できる場合は、確認のうえ、書面を医師等に渡す。意思が確認できない場合の渡し方は、あらかじめ契約書に定めておく。
- 渡した記録を残す誰に、いつ、どの版を渡したかを記録し、本人(または成年後見人等)への報告に含める。
国のガイドラインは、書面を預かっている場合に、利用者の意思が確認可能なときは確認のうえで医師等へ渡すことは差し支えないと考えられる、としています。
書面には、病歴や心身の状態に関する記載が含まれるのが普通です。個人情報保護法は、「病歴」などを含む個人情報を「要配慮個人情報」と定めており(2条3項)、事業者が取得するには、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です(20条2項)。また、個人データを第三者に提供するときも、原則として本人の同意が必要です(27条1項)。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときは、例外とされています(同項2号)。「書面を医師に渡す」ことが、この例外に当たるのか、本人の同意で足りるのかを、契約書でどう整理しておくか。事前に、預かること、医療機関に渡すこと、渡す相手を、本人の同意として書面で確認しておくのが、無理のない整理の一つです。
書き方の例事前の意向の書面の預かりと提示(書き方の例)
- 利用者は、希望する医療及び介護に関する意向を、自らの意思により書面に記すことができ、当社は、利用者の求めにより、その書面(写しを含みます。)を預かります。
- 当社は、書面の内容について助言をせず、利用者の意向を誘導しません。書面の記載内容の変更は、利用者が行います。
- 当社は、利用者が入院または入所したときは、利用者の意思が確認できる場合に限り、その意思を確認のうえ、書面を医師等に提示します。利用者の意思が確認できない場合の取扱いは、第○条に定めます。
- 当社は、○か月に1回以上の面談その他の方法により、前項の書面の内容に変更がないかを利用者に確認します。変更があった場合は、新たな書面を預かり、前の書面との関係を記録します。
- 当社は、書面を提示した日時、相手方及び提示した書面の版を記録し、利用者に報告します。
面談の頻度や保管の方法は、サービスの内容に合わせて決めます。数字は「○」で伏せています。
入院の場面:手続の支援、説明への同席、同意書の署名を求められたとき
国のガイドラインは、入院の際の対応について、利用者が自分で手続できる場合は本人が行うのが原則であり、入院手続を支援内容に含めることを契約書に明記している場合には、利用者の意思を十分踏まえたうえで、事業者が入院に係る手続(説明への立会い、費用の支払の代行など)を支援できる、としています。このほか、利用者の意向を踏まえて、入院手続の説明などの場に事業者が立ち会うことは差し支えないと考えられる、とも書いています。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインにも、入院診療の説明に同席を希望する人がいる場合には、本人の意向を確認したうえで、情報提供を行うとあります。
ここで問題になるのが、病院から同意書への署名を求められたときです。事業者は医療同意の権限を持たないので、治療の同意者として署名することはできません。とはいえ、署名欄が一つしかない様式しか用意されていない病院もあります。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインは、成年後見人等について、同意書へのサインを強要することのないよう医療機関に注意を促し、説明を行った事実を残したい場合には、たとえば「成年後見人として担当医の説明を受けました」といった記載にする方法を挙げています。事業者の署名にも、同じ発想を当てはめることが考えられます。署名の趣旨が「同意」ではなく、「説明を受けた事実」や「緊急連絡先であること」であると分かる文言にするよう、医療機関と調整するという整理です。
書き方の例(一般的な例) 同意書の署名を求められたときの考え方
署名の趣旨
理由署名が同意と読まれると、事業者に権限がない同意をした形になり、あとで責任を問われかねない。
契約書での備え
理由「すべての手続」と書くと、同意も含まれると受け取られる。
説明の場への同席
理由同席は本人の意向が前提で、本人に代わって聞くことが目的ではない。
入院費等の支払いは、本人に判断能力があり支払える場合には、本人が支払うのが原則とされています。事業者が支払を代行する場合は、預託金や財産管理等委託契約の定めに従い、出納を記録して本人に報告します。医療費の内訳や領収書を保管し、請求があれば見せられる状態にしておくことで、後から相続人や成年後見人等に説明できます。預託金の扱いは預託金・前払金の管理に整理しています。
緊急連絡先の受託:夜間・休日、駆けつけ、周知の方法を決める
緊急連絡先を引き受けることは、一見すると手間の少ない約束に見えます。しかし、病院や施設から電話が来る時間は、日中とは限りません。国のガイドラインは、緊急連絡先を受託するときに、特に夜間・休日の連絡体制や、医療機関や介護施設等へ駆けつけるタイミングなどを、あらかじめ利用者に説明しておくことが重要としています。また、緊急時に対応できる事項(土日・休日の対応体制等)とこれに要する費用を、丁寧に説明するよう求めています。
場面別:緊急連絡先を受けたときの起きがちなことと契約書での備え
夜間の入院の連絡
起きがちなこと夜中に救急搬送された病院から電話がかかるが、事業者の営業時間外で応答がなく、病院が連絡先を探して朝になる。
契約書・説明書での備え夜間・休日の連絡体制(当番の電話、転送先)と、駆けつけるか電話での対応にとどめるかの目安を、契約書と説明書に書く。体制がなければ、その旨を書き、代替の連絡先を利用者に確保してもらう。
連絡先が本人の手元にない
起きがちなこと救急隊員や病院が、本人の持ち物から連絡先を見つけられない。
契約書・説明書での備え連絡先を、かかりつけ医・担当のケアマネジャーに知らせておく、利用者が身に着けておく、自宅の分かりやすい位置に掲示する、といった方法を、本人と相談して決める。
連絡してほしい相手が別にいる
起きがちなこと危篤などのとき、本人が連絡してほしかった友人や親族に連絡が行かない。
契約書・説明書での備え利用者が連絡してほしい先の有無と、連絡の可否を確認しておく。定期的な面談で変更がないか確認する。了解が得られれば、先方に事業者から連絡がある旨を伝えておく。
書面を病院が求める
起きがちなこと病院が、本人の希望する医療を記した書面を求めるが、事業者の手元にあるのか分からない。
契約書・説明書での備え預かっている書面があれば、医療機関等に渡すことを、契約書に書く。書面の所在を面談の記録に残す。
国のガイドラインは、利用者が危篤等の緊急時に連絡してほしい先がある場合には、連絡先等を把握しておくこと、定期的な面談の際に変更がないか確認しておくことが望ましいとしています。
緊急連絡先を受託するときは、個人情報の扱いも決めておきます。病院に伝える情報の範囲(住所、持病、服薬、かかりつけ医など)と、連絡先として知らされる相手(友人や親族)に伝えてよい情報の範囲は、利用者の意向を面談で確認し、書面に残します。個人データを扱う事業者には、漏えい等の防止のための安全管理措置を講じる義務もあります(個人情報保護法23条)。預かった書面や連絡先の一覧の保管場所、持ち出しの基準、閲覧できる人も、あらかじめ決めておきます。
退院時の支援と、本人の意思が確認できないとき
入院が終わりに近づくと、退院後の生活の場をどうするかが課題になります。国のガイドラインは、退院の見通しが立ってきたときに、事業者が、医療機関や担当のケアマネジャー等の関係者に、退院後に必要と想定される医療や介護の状況を確認するとともに、利用者の退院後の生活に関する意向を確認することが重要としています。そして、利用者の意向に基づき、主治医や医療ソーシャルワーカー(すでに介護保険サービスを利用している場合は担当のケアマネジャー等を含む)の判断も踏まえて、退院後の選択肢(転院、介護施設等への入居・入所、通院や在宅医療の利用、介護サービスの利用など)について、利用者に分かりやすく情報を提供することが望ましいとしています。
ここでの事業者の役割は、「選択肢を分かりやすく伝え、本人の意向を確かめる」ことです。どの医療が適切かという判断は主治医等の仕事であり、事業者は、医療上の判断を代わりに行うことはしません。また、利用者の判断能力が不十分な場合には、成年後見人等と連携して意思決定の支援を行うことが重要とされています。判断能力が低下したときの契約の扱いは、判断能力が低下したときで整理しています。
最も難しいのは、意思決定が求められる時点で、本人の意思が確認できない場合です。国のガイドラインは、この場合、医療機関向けに作られた厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインを参照して支援に取り組むことが重要としています。そのガイドラインは、本人の意思が確認できないときは、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う必要があるとしています。その基本的な考え方は、家族等が本人の意思を推定できる場合にはその推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとること、家族等がいない場合には本人にとっての最善の方針をとること、話し合った内容をその都度文書にまとめておくこと、とされています。医療機関では、院内の倫理カンファレンスや臨床倫理委員会を活用する場合もあります。
このとき、事業者が提供できるのは、本人の意思を推定する材料です。事前に預かっていた意向の書面、定期面談の記録、本人が日頃語っていた価値観や好み、連絡を希望していた相手のリストなどが、これにあたります。事業者が治療の方針を決めるのではなく、医療・ケアチームが本人にとっての最善を判断するための情報を、整理して渡す役割です。面談の記録を残していないと、この役割は果たせません。この意味でも、国のガイドラインが定期的な面談を重視している理由が分かります。
確認の問いと理由契約書と説明書を作る前の確認の問い
医療行為への同意を「行わない」と明記したか。
事業者には同意の権限がないとされている。曖昧にすると、病院は署名を求め、事業者は断りづらくなる。
事前の意向の書面を預かる場合の、保管・更新・提示の手順があるか。
国のガイドラインは、書面を定期的に確認することが望ましいとしている。渡した記録も残す。
夜間・休日に電話に出られる体制があるか。なければ、その旨を書いたか。
体制がないまま緊急連絡先を受託すると、緊急時に応答できない。
病院から署名を求められたときの、署名の趣旨を伝える方法を決めたか。
同意として読まれないようにするため。成年後見人について示されている記載の工夫が参考になる。
面談の記録を残し、本人の意思の推定に使える形にしてあるか。
本人の意思が確認できないとき、医療・ケアチームに渡せる材料になる。
起きがちなこと
場面別・起きがちなこと
- 契約書に「入院・手術等の手続はすべて当社が行う」と書いたため、病院が手術の同意書への署名を求め、事業者が断れずに署名してしまう。
- 事業者が医師の説明に同席したが、本人の意向を確認しておらず、本人が「同席してほしくなかった」と言う。
- 夜間の連絡に出られる体制がないのに緊急連絡先を受託し、救急搬送の夜に病院が連絡を取れない。
- 意向の書面を預かっていたが、更新の記録がなく、入院時に出した書面が何年前のものか分からない。
- 事前の書面は預かっているが、医療機関に渡す条件を決めておらず、本人の意思が確認できない状況で、渡してよいのか判断できない。
- 本人が意思を表明できない状況になったとき、面談の記録がなく、本人の希望を医療・ケアチームに伝える材料がない。
- 退院後の行き先について、事業者が自分の提携する施設だけを案内し、ほかの選択肢が伝わらない。
よくあるご質問
身元保証を頼んだ事業者は、手術の同意書にサインできますか。
国のガイドラインは、医療同意は利用者の身体・生命に関わる一身専属性の高い事柄で、事業者を含む身元保証人・身元引受人等の第三者には同意の権限はないと考えられる、としています。署名を求められたときは、署名の趣旨が同意ではないことを医療機関に伝え、必要なら様式の調整を医療機関と行います。契約書にも、同意をしないと明記します。
医師の説明の場に、事業者が同席することはできますか。
利用者が希望する場合には、差し支えないと考えられています(国のガイドライン)。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインも、説明に同席を希望する人がいる場合に、本人の意向を確認したうえで情報提供を行うとしています。同席は本人の意向が前提です。
エンディングノートや事前指示書は、事業者が預かってよいのですか。
国のガイドラインは、本人の希望をあらかじめ書面に残すことが望ましいとし、事業者が書面を預かっている場合に、利用者の意思が確認可能なときは確認のうえで医師等に渡すことは差し支えないと考えられる、としています。内容への助言や誘導はせず、保管・更新・提示の手順と、記録を契約書に定めます。
緊急連絡先を引き受けるとき、何を説明すべきですか。
夜間・休日の連絡体制、駆けつけるタイミング、これに要する費用です(国のガイドライン)。連絡先を関係機関に伝える方法(かかりつけ医やケアマネジャーへの周知、携帯、自宅への掲示など)や、危篤などのときに連絡してほしい先も、面談で確認しておきます。
本人の意思が確認できないとき、事業者は何をするのですか。
医療上の決定は、医療機関の医療・ケアチームが、本人にとっての最善を考えて行います。事業者は、預かっていた意向の書面や面談の記録など、本人の意思を推定する材料を提供する立場です。厚生労働省の身寄りがない人のガイドラインを参照し、判断能力が不十分な場合は成年後見人等と連携します。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は法律ではなく、事業者が自主的に確かめるための指針として示されたものです。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会