死因贈与・寄附・遺贈と契約:条件にしない・撤回できると伝える

財産を託す話は、本人の真の意思に基づくものか疑義が残りやすい領域です。サービス契約と切り離す理由、事業者の利益相反的な立場、撤回の説明と記録、遺贈先の示し方、公正証書遺言が望ましいとされる理由、法人等による寄附の勧誘の法律との関係を整理します。

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「預託金の残金は事業者に贈与する」という一文が、サービス契約の中に混ざっていないでしょうか。

このページの要点

  • 死因贈与や寄附を、サービス契約の条件にしない。パッケージのプランにもしない。
  • サービスに費用をかけないほど将来の受け取りが増える立場にあることを自覚し、提供記録と第三者の点検で備える。
  • 死因贈与は原則として生前に撤回できる。その旨を説明し、記録に残し、撤回してもサービスが変わらないと書く。
  • 遺贈先の相談を受けたら他の選択肢も示す。事業者が遺贈を受けるなら、公正証書遺言が望ましい。

結論:財産を託す話は、サービスの契約と切り離し、本人の意思を確かめられる形でだけ扱う

高齢者支援の契約を結ぶとき、利用者が自分の亡くなった後の財産について、事業者に託したいという意向を示すことがあります。逆に、事業者の側から、死因贈与や寄附、遺贈を勧められる場面もあります。ガイドラインは、こうした贈与や遺贈が、本来、真に利用者の意思に基づくものであれば不適切とはいえないとしたうえで、事業者の立場には利益が相反しやすい事情があることを指摘し、扱い方に慎重さを求めています。

このページの結論は、次の五つです。

死因贈与・寄附・遺贈の扱い方の五つの柱

  • 切り離す:死因贈与や寄附、遺贈を、高齢者支援サービスの契約の条件にしない。パッケージのプランにもしない。
  • 利益相反を自覚する:サービスに費用をかけないほど、将来の受け取りが増える立場にあることを、事業者が自覚する。
  • 撤回できると伝える:死因贈与は原則として生前に撤回できる。その旨を説明し、記録に残す。
  • 選択肢を示す:遺贈の相談を受けたときは、事業者だけでなく、他の遺贈先も選択肢として示す。
  • 方式を選ぶ:事業者が遺贈を受けようとするときは、遺言能力と自由な意思を担保するため、公正証書遺言が望ましい。

このページは、遺言書の書き方や相続の紛争の解決には立ち入りません。事業者との契約にどう関係させないか、という契約実務の範囲に絞ります。チェックリストの該当項目は、項目7(契約時に死因贈与や寄附を条件等とした契約を締結していない)と項目8(死因贈与契約を締結する場合、その契約を撤回できることを明らかにしている)です。ガイドラインの全体像はガイドラインの読み方のページで、契約全体の地図は契約の全体像のページで整理しています。

三つの仕組みの違い:死因贈与・寄附・遺贈

亡くなった後に財産が事業者に渡る仕組みは、法律上、いくつかの種類があります。名前が似ているため混同されやすいのですが、成立のしかたや撤回の考え方が異なります。

死因贈与・寄附(贈与)・遺贈の比較(制度の紹介の範囲)

仕組み成立のしかた効力が生ずる時契約実務で気をつける点
死因贈与贈与者と受贈者の契約。贈与者が財産を無償で与える意思を表示し、相手方が受諾する(民法549条)贈与者の死亡によって効力を生ずる。その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用される(民法554条)ガイドラインは、原則として利用者が生前に撤回できるとし、撤回できる旨の説明と記録を望ましいとする
寄附(贈与)利用者と事業者の贈与契約贈与の合意に基づく時期ガイドラインは、サービスの契約の条件にすることを避けることが重要だとする。法人等による寄附の勧誘には別の法律の規律もある
遺贈遺言による単独行為。遺言者が一人で行う。遺言の方式には、自筆証書遺言(民法968条)と公正証書遺言(民法969条)がある遺言者の死亡の時遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない(民法963条)。遺言はいつでも撤回できる(民法1022条)

死因贈与の根拠条文は、民法549条の贈与の規定と、民法554条の準用規定です。贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することによって、効力を生じます(民法549条)。書面によらない贈与は、履行の終わった部分を除いて、各当事者が解除することができます(民法550条)。死因贈与は、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与であり、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます(民法554条)。

遺贈は、遺言者本人の自由な意思に基づいてされる単独行為であり、遺言者はいつでも、遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回することができます(民法1022条)。死因贈与は契約、遺贈は単独行為、という違いがあり、前者は相手方の受諾が必要で、後者は不要です。事業者から見ると、死因贈与契約は、契約書に事業者自身が署名して当事者となる以上、事業者の関与が目に見える形で残ります。遺贈は、事業者が遺言の作成に関わる過程に注意が必要になります。

契約の条件にしない、パッケージにしない:なぜ避けるべきか

ガイドラインは、死因贈与契約の締結や寄附をすることを、高齢者等終身サポート事業に係る契約の条件にし、あるいは、高齢者等終身サポート事業に係る契約とパッケージにした契約プランを設けることなどは、死因贈与契約や寄附が真に利用者の意思に基づくものか疑義が残るため、避けることが重要である、としています。具体例として、利用者が死亡した場合に預託金の残金を事業者に贈与する、あるいは死後事務委任契約に基づく事務処理の費用に充てるものとして相続財産の全部または一部を贈与する旨の契約を併せて締結すること、が挙げられています。

この「疑義が残る」という指摘の背景には、民法90条があります。公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は、無効とされます。ガイドラインの注記は、身元保証契約と死因贈与契約をセットにした契約について、内容と締結の過程に照らし、社会的弱者とされる高齢者に身元保証を提供する代わりに、合理的な理由もないまま、死亡時の不動産を除く全財産を無償で譲渡させることにより事業者が利益を得るものであって、暴利行為といえ、公序良俗に反して無効とした裁判例がある、と述べています。判決そのものは、裁判所の原文で確認が必要であり、このページではガイドラインの記載の紹介にとどめます。

パッケージの形をとらなくても、実質的に条件になっている場合があります。たとえば、死後事務の契約を結ぶには死因贈与も一緒に、と案内する場合や、贈与をすれば費用が安くなる、という料金体系を示す場合です。こうした仕組みは、利用者の選択の自由を損ない、サービスの購入と財産の提供が、実質的に結びついていると見られるおそれがあります。

書き方の例(一般的な例) 死因贈与・寄附に関する条項と案内

契約との関係

よくある書き方「本契約の締結にあたり、利用者は、死亡時に預託金の残額を事業者に贈与します。」
整えた書き方「預託金の残額は、精算のうえ、利用者の相続人に返還します。事業者への贈与や寄附は、本契約の内容ではなく、本契約の締結の条件ともしません。」

理由残金の贈与を契約の内容に組み込むと、贈与がサービス契約の条件になります。返還を原則とし、贈与の話は別に扱います。

プランの案内

よくある書き方「死因贈与付きプランは、費用を割引します。」
整えた書き方(贈与と結びつけたプランは設けない。費用は、提供するサービスの内容に応じて定める)

理由贈与と費用を結びつけた案内は、利用者の判断をゆがめるおそれがあります。贈与するかしないかで、サービスの価格や内容が変わらないようにします。

勧誘の言い方

よくある書き方「ご家族がいらっしゃらないなら、財産は私たちにお任せください。」
整えた書き方(財産の行き先は、本人が決めることであり、事業者から勧めることはしない。本人から相談を受けたときは、選択肢を示す)

理由財産の処分を勧める言い方は、利益相反の立場にある事業者の側から行わないようにします。

預託金の残金の扱いについては預託金・前払金の管理のページで、返還が原則であることを前提に整理しています。解約や死亡のときの精算は契約の変更・解約・返金・終了のページが扱います。

利益相反的な立場:サービスの質との関係

ガイドラインは、契約の条件やパッケージにするのでなくとも、事業者が利用者と死因贈与契約を締結すると、事業者にとっては、サービス提供に係る費用をかけなければ、将来、死因贈与を受けられる財産の額がその分増大することになる、と指摘しています。このような利益相反的な立場にあるため、契約内容やその後のサービス提供の状況等によっては、生前の利用者に対するサービスの質が低下し、利用者の死後に相続人との間で紛争が生じるリスクもあることから、死因贈与契約を締結するにあたってはこの点に十分に注意することが重要である、としています。

この構造は、単純です。利用者が財産を事業者に贈与する約束をしていると、事業者は、利用者の生前に、利用者のために使う費用を減らすほど、最終的に受け取る財産が増えます。見守りの頻度を落とす、医療や介護への関わりを薄くする、といった行動が、経済的な動機に結びつくおそれがあるのです。事業者に悪意がなくても、そう疑われうる構造そのものが、相続人との紛争の火種になります。

この利益相反に対する備えとして、実務では、次のような工夫が考えられます。

確認の問いと理由利益相反を意識した運用の問い

  1. サービスの提供内容と頻度は、贈与の有無にかかわらず同じか

    贈与を受ける利用者と受けない利用者で、サービスの内容が変わらないことを、内部の運用で確かめます。

  2. 提供記録は、贈与とは別に、サービスごとに残しているか

    生前のサービスが適切に提供されていたことを、記録で示せるようにしておきます。

  3. 第三者による定期的な点検の仕組みはあるか

    ガイドラインは、死後事務の履行について、第三者による点検等が定期的に行われる仕組みを構築しておくことが有効だとしています。贈与を受ける場合は、生前のサービスについても、第三者が確認できる形が望ましいといえます。

  4. 相続人に、贈与の事実と内容を説明する用意があるか

    本人の意思に反しない範囲で、相続人に事前に説明することが、紛争の予防になります。

提供記録の考え方と履行の管理は、ガイドラインの第3の1(サービス提供の管理)に沿って、各ページで整理しています。死後事務の契約の組み立ては死後事務委任契約の書き方、死亡後の実務は死後事務の履行の実務のページをご覧ください。

死因贈与は撤回できる:説明と記録の残し方

ガイドラインは、高齢者等終身サポート事業者と利用者との間の死因贈与契約について、当該利用者の意思に基づいて締結されたものであっても、原則として利用者が生前に当該死因贈与契約を撤回することができるものと考えられる、としています。そのうえで、事業者は、利用者に撤回の機会を与える観点から、また、利用者の死後に相続人との間で紛争が生じるリスクを回避する観点から、利用者に対して撤回権があることを説明し、その旨を記録しておくことが望ましい、としています。チェックリストにも、死因贈与契約を締結する場合に、その契約を撤回できることを明らかにしている、という項目があります。

ガイドラインの注記は、死因贈与契約は、原則として贈与者が生前に撤回することができるとされていること(最高裁判所の判決)を踏まえたものと述べ、あわせて、負担付贈与であって受贈者がすでにその負担の全部またはそれに類する程度の履行をした場合には、特段の事情がない限り、贈与者は撤回できないともされている、と記しています。つまり、撤回の可否は、契約の内容と履行の状況によって左右されることがあります。判決の内容は原文で確認が必要であり、ここではガイドラインの記載の紹介にとどめます。

実務上の要点は、撤回できる、という趣旨を、書面にも口頭にも残すことです。次のような書き方が考えられます。

書き方の例死因贈与契約における撤回の定め(一般的な例)

  1. 利用者は、生存中、事業者に対する意思表示により、本死因贈与契約を撤回することができます。
  2. 事業者は、本死因贈与契約の締結に先立ち、利用者に対し、前項の撤回の権利があること、撤回しても本契約に基づくサービスの提供の条件に影響しないことを説明し、その説明の日時と内容を記録します。
  3. 事業者は、利用者から撤回の意思表示を受けたときは、そのことを理由として、サービスの内容、費用その他の取扱いを変更しません。

ここで紹介するのは、ガイドラインの趣旨を条文の形にした例です。死因贈与そのものを勧める趣旨ではありません。

撤回の意思表示を受けたときに、サービスの内容や関係を変えない、という点が重要です。撤回したら事業者が冷たくなる、あるいは契約の継続が難しくなる、といった事態が生じるなら、利用者は事実上、撤回できません。撤回の権利を実質的なものにするため、撤回とサービスの提供が無関係であることを、契約書に書いておきます。

遺贈:遺贈先を事業者だけにしない、公正証書遺言が望ましい

遺贈についても、ガイドラインは、利益相反的な状況になりうることを指摘しています。主な利用者が、判断能力の低下が懸念される高齢者であること、死因贈与や寄附と同様に利益相反的な状況になりうることから、利用者の死後に、相続人との間で、遺言能力の有無等をめぐってトラブルが生じやすいことに留意する必要がある、としています。

そこで、事業者が利用者から遺贈先の相談を受けるときは、次のように対応することが望ましいとされています。

遺贈を受けようとするときの対応(ガイドラインの記載の要点)

  • ガイドライン 第2・3(2)
    選択肢を示す

    遺贈先の相談を受けるとき、事業者のみを示すのではなく、他の遺贈先を選択肢として示し、利用者が真に自発的に遺贈先を選べるようにする。

  • ガイドライン 第2・3(2)
    過程を記録する

    事後的なトラブルを未然に防ぐため、相談から決定までの過程を記録に残す。

  • ガイドライン 第2・3(2)
    公正証書遺言によることが望ましい

    事業者が遺贈を受けようとする場合は、本人に遺言能力があり、自由な意思に基づく遺贈であることを担保する観点から、公正証書遺言によることが望ましい。

  • ガイドライン 第2・3(2)
    条件にしない

    遺贈を受けることを高齢者等終身サポート事業に係る契約の条件とすることなどは、避けることが重要。

  • 民法 963条
    遺言能力

    遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。

公正証書遺言が望ましいとされる理由は、方式の厳格さにあります。公正証書によって遺言をするには、証人二人以上の立会いがあること、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授することなど、法定の方式に従わなければならず(民法969条)、公証人法の定めるところにより作成されます。ガイドラインの説明によれば、公正証書遺言は、法律専門家である公証人の関与の下で、厳格な方式に従って作成され、公証人が原本を厳重に保管する信頼性の高い制度であり、公証人において遺言者の遺言能力の確認なども行われます。紛失や改変のおそれがなく、一般には無効な遺言になりにくい、という利点がある一方、一定の手続を要し、作成費用がかかるという負担があります。

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付および氏名を自書し、これに印を押して作成します(民法968条1項)。手軽で自由度が高いものの、方式不備や内容の不明確さによる紛争、偽造・変造・紛失・隠匿の危険があることが、ガイドラインにも記されています。法務局における自筆証書遺言の保管制度(法務局における遺言書の保管等に関する法律)を利用すると、デメリットの一部は軽減されます。この制度の対象は、民法968条の自筆証書遺言です(同法1条)。

事業者が遺贈を受けようとするとき、自筆証書遺言では足りないと考える理由は、事業者の側に、遺言の内容に利害があるからです。第三者である公証人が関与する公正証書遺言のほうが、遺言能力と自由な意思の担保に役立つ、という趣旨です。なお、遺言書そのものの内容や書き方は、このサイトの扱う範囲を超えるため、触れません。

法人等による寄附の勧誘:別の法律の規律

事業者が法人である場合には、高齢者支援の契約とは別に、寄附の勧誘に関する法律の規律も視野に入れておく必要があります。「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」は、法人等(法人または法人でない社団もしくは財団で代表者もしくは管理人の定めがあるもの)による不当な寄附の勧誘を禁止し、消費者契約法とあいまって、法人等からの寄附の勧誘を受ける者の保護を図ることを目的としています(同法1条)。

この法律で「寄附」とは、個人と法人等との間で締結される、個人が法人等に対し無償で財産に関する権利を移転することを内容とする契約などと、個人が法人等に対し無償で財産上の利益を供与する単独行為をいいます(同法2条)。事業者の行う勧誘が、この定義に当たるかどうかは、個々の勧誘の内容によって異なるため、条文で確認する必要があります。

法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律の要点

  • 同法 3条
    配慮義務

    寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること。寄附により、個人またはその一定の親族の生活の維持を困難にすることがないようにすること。法人等を特定するに足りる事項を明らかにし、寄附される財産の使途について誤認させるおそれがないようにすること。

  • 同法 4条
    禁止行為

    退去すべき意思を示したのに退去しないこと、退去を妨害すること、威迫して相談の連絡を妨げること、霊感等による不安をあおることなど、個人を困惑させる行為。

  • 同法 5条
    資金調達の要求の禁止

    借入れにより、または居住の用に供している建物やその敷地などを処分することにより、寄附をするための資金を調達することを要求してはならない。

この法律のすべての勧誘に高齢者支援の事業者が当たるわけではありません。勧誘の相手と内容に応じた確認が必要です。

この法律は、ガイドラインの記載する死因贈与や寄附の問題を、別の角度から補うものとして読めます。ガイドラインが「真に利用者の意思に基づくものか」を問題にしているのに対し、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律は、勧誘の方法と資金調達の要求という行為そのものを規律します。事業者が法人であって、寄附を募る場面がありうるなら、勧誘の言動と書面を、この法律にも照らして点検しておきます。

また、寄附や贈与を受ける際に、消費者契約法の取消しの規定(同法4条)が適用される余地があるかどうかは、個別の契約が消費者契約に当たるか、事業者の勧誘が条文の要件に当たるかによります。契約の入り口での勧誘と説明の整理は勧誘と説明のしかたのページにあります。

起きがちなこと:贈与・寄附・遺贈をめぐる場面と備え

贈与・寄附・遺贈をめぐる、時点ごとの場面

契約の相談の場

起きがちなこと家族がいない利用者が、「何かお礼をしたい」と財産の話を切り出す。

契約書・説明書での備えサービスの契約とは切り離して扱う。その場で決めず、本人の意思を確かめる日を改める。

契約書の作成

起きがちなこと預託金の残金を事業者に贈与する条項が、契約書の中に組み込まれている。

契約書・説明書での備え返還を原則とする。贈与や寄附を契約の条件にしない。

死因贈与契約を結ぶとき

起きがちなこと撤回できることを説明しないまま、書面に署名する。

契約書・説明書での備え撤回できる旨を説明し、説明の日時と内容を記録する。撤回してもサービスは変わらないと書く。

遺贈の相談を受けたとき

起きがちなこと事業者だけを遺贈先として話が進む。

契約書・説明書での備え他の遺贈先を選択肢として示す。相談の過程を記録する。公正証書遺言が望ましい。

サービスの提供期間中

起きがちなこと贈与を受ける約束がある利用者に対して、サービスの頻度や質が下がる。

契約書・説明書での備え贈与の有無にかかわらず同じサービスを提供する。提供記録を残し、第三者が点検できる形にする。

利用者の死後

起きがちなこと相続人が、贈与や遺贈の存在を知り、本人の意思や遺言能力を争う。

契約書・説明書での備え記録を保存し、本人の意思を確かめた過程を説明できるようにする。

起きがちなこと:贈与・寄附・遺贈で見落とされやすい点

  • 死因贈与や寄附を、高齢者支援のサービス契約の条件にしている、またはパッケージのプランにしている。
  • 死因贈与契約の撤回について、説明も記録もない。
  • 遺贈先の相談で、事業者のみを示している。
  • 事業者が遺贈を受けるのに、自筆証書遺言で足りるとして進めている。
  • 贈与を受ける利用者と受けない利用者で、サービスの質や頻度が異なる運用がある。
  • 「預託金の残金は事業者のものとする」という定めが、贈与の趣旨として契約書に残っている。

契約トラブルが生じたときの確認の順序は契約トラブルとよくある質問のページにまとめています。

よくあるご質問

利用者が自分から「財産を事業者に贈りたい」と言った場合も、避けるべきですか。

ガイドラインは、死因贈与や寄附が真に利用者の意思に基づくものであれば、本来は不適切とはいえないとしています。ただし、利益相反的な立場にあることから、サービス契約の条件にしないこと、撤回できる旨の説明と記録、選択肢の提示など、本人の意思を確かめられる形で扱うことを求めています。

死因贈与契約は、あとから取り消せますか。

ガイドラインは、死因贈与契約は、原則として利用者が生前に撤回できるものと考えられるとしています。ただし、負担付贈与で受贈者がすでに負担の全部またはそれに類する程度を履行した場合などは、撤回できないとされることもあるため、契約の内容と履行の状況の確認が必要です。事業者は、撤回できる旨を説明し、記録しておくことが望ましいとされています。

事業者に遺贈する遺言は、自筆で書いてもよいのですか。

自筆証書遺言も民法968条に定める有効な方式です。ただし、ガイドラインは、事業者が利用者から遺贈を受けようとする場合は、利用者に遺言能力があり、自由な意思に基づく遺贈であることを担保する観点から、公正証書遺言によることが望ましいとしています。

預託金の残金を事業者に寄附する、という条項は問題ですか。

ガイドラインは、預託金の残金を事業者に贈与する契約を併せて締結することなどを、真に利用者の意思に基づくものか疑義が残るため避けることが重要としています。残金は返還するのが原則であり、贈与や寄附は、サービス契約とは別に、本人の意思が確かめられる方法で扱います。

寄附の勧誘に関する法律は、高齢者支援の事業者にも関係しますか。

事業者が法人等であり、個人に対して寄附の勧誘をする場合には、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律の配慮義務(3条)や禁止行為(4条、5条)が関わりえます。個別の勧誘が条文の「寄附」や「勧誘」に当たるかどうかは、内容に応じた確認が必要です。

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本ページは一般的な情報提供です。個別の契約への当てはめは、サービスの内容や契約の経緯によって異なることがあります。書き方の例として紹介している内容は、契約書作成の実務の経験をもとに、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索(法令API)で確認しています。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」は法律ではなく、事業者が自主的に確かめるための指針として示されたものです。参考: e-Gov法令検索 / 厚生労働省 / 消費者庁 / 個人情報保護委員会

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